今月の法話

今月の法話

法話2012年1月  安洞院短信1月号掲載

将来のために

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現代文明のあり方、国民の暮らし方、政治のあり方、人生観から社会観に至るまで厳しく問われたのが昨年であれば、今年は具体的に日本人がどう変るかが問われる年になると思います。将来世代のために、私たちは、今なにをやめ、今なにをすべきなのか、一人一人が問われています。

未来に絶望的な負担を強いる、深刻な国債残高の急増。そして遅々として進まない復興事業。めまぐるしく変えられる放射能汚染数値の安全基準などに対し、国民の多くは一様に大きな不安を抱いています。

さらに、原発は安全神話に守られて、日本の産業発展と経済成長を支えてきたと言われておりますが、そもそも、火山・地震列島の海岸沿いに、原発を立地すること自体、誤りではなかったのか。地元福島は原発の事故について、政府、東電、学者に対し根強い不信感を持っています。

日本の財界には原発がなければわが国の産業界は成り立たないという意見が主流を占めていますが、視点を変えれば世界各国はわが国の地震リスクを抱えた原発によって支えられている現生産体制にこそ大きな危惧の念を抱いているのではないでしょうか。

それでなくても、日本の工場は海外に移転し、国内産業の空洞化は今も一層進んでいます。皮肉なことに工場を支えてきた原発周辺の工業団地が被曝リスクを回避するために撤退するということだって、今後起こりえるのです。

いまやユーロ圏の中心的な国家となったドイツは福島の事故を受けて、将来における原発の廃止を国民の総意のもと、早々に決断しています。それに比べ、わが国の危機管理能力と政治決断はあまりにもお粗末だと思います。

今こそ、日本人は将来を見据えて、旧来の価値観や常識、生き方を全て見直し、出直すべきです。

第一は国、家庭を問わず、幸せの先食いをやめることです。みさかいのない借金によって得た幸せは必ず破綻します。

第二は無限の成長神話の呪縛から離れて、程よい幸福感をどう捉えるか。富めば舞い上がり、貧すれば落ちこむのくり返しではあまりにも空しいと思いませんか。

仙台は今、復興景気に沸いています。高級時計が売れはじめ、飲食店の空きテナントも無いというバブル状態が出現しています。日本人は何度同じ失敗を経験すれば、眼が覚めるのでしょうか。今こそ、福島の原発事故を日本再生のチャンスにしなかったら、日本の将来は無いと思います。問われているのは他人ではなく、いつも私達自身なのです。

住 職

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